この話は、プツンと何かが切れた日のお話です。昔を掘り起こして書き出すので読み苦しい点、ご不快な点がありましたらそっと閉じてください。
喜ばしいことが、素直に喜べない
ぎこちないまま仕事して、終わったら速攻帰る日々。2ヶ月ほど過ぎたあたりでしょうか。
ーーー生理が来ない。
まさか、そんな、元々不順だし、……でも。
検査用のキットを買って、トイレへ。
結果は陽性でした。
大好きな人のこども。産みたい。
こんな時期に?迷惑じゃない?育てられる?
今の生活を続けるのに精一杯で余裕のない管理人は、兎に角その足で産婦人科へ行きました。
判明したのは妊娠推定5ヶ月だということ。何回かあった生理不順だと思ってスルーしてた出血は、不正出血で、流れるかもしれなかったこと。
前回のバイトをしてた時にはお腹にいた赤ちゃん。何度も無茶したしそれまで確認もしてなかったしお酒も飲んでました。
それでも懸命に生きて、ココに存在してくれている赤ちゃん。
はじめて恋人に妊娠を告げるのには勇気が入りました。要らないとか、少しでも嫌な雰囲気があったらどうしよう。そう思いつつも
「今さ、5ヶ月なんだって。赤ちゃんできてた。」
しっかり目を見て告げました。恋人は、
「そっか。ありがとう。産んで。」
言ってくれたことにも涙が出ました。いいんだと、この子は産んでいいのだと、しっかり身体に浸透しました。
切望してたわけではなかった。けれども、「産みたい」気持ちが大きかった。この人となら、大丈夫だと。確かにこの瞬間は、とんでもなく幸せでした。
現実はそんなに甘くなく。
パートは中途半端にたった3ヶ月で退職しました。来月にはスキルアップの研修も入っていたのに。またとんでもなく周りに迷惑をかけてしまった罪悪感と、もう愛想笑いしなくていい解放感。
はじめての妊婦検診。入籍の手続き。思うようにいかない体調……。
精神的に負荷が結構かかっていたのでしょうね。マタニティブルーとでもいうのでしょうか。どんどん気持ちが沈んでいって、不安になっていったのです。
どうしてこのタイミングなんだろう。
私に育てられる?
デキ婚なんて、恋人の実家に申し訳ない。
……カエルの子はカエルにならないだろうか。私はアレと同類になりたくない。
堕胎は嫌だけど、流産ならーー。
とても酷いことも考えて、腹部を殴ったこともありました。罵声を浴びせたこともありました。
酷い人間だったでしょう。それでも生きることを諦めないでいてくれた赤ちゃんには「ごめんね」と「ありがとう」を沢山言いました。
腹を決めたつもりでも、脆く崩れる覚悟。情けなくて惨めな気持ちになりながらも、少しずつ、少しずつ、
「この子を守れるのは親だ」
母性のようなものが、根付き始めたのです。
続きます。